2024年【第38回受賞作品】
電車内で、文化的な雰囲気と潤いを感じていただくため、「東京で感じるあなたの心」をテーマに詩を募集いたしました。ご応募いただいた作品の中から、優秀作品を電車内のポスターとして掲出(期間限定)するとともに、優秀作品及び入選作品※をご紹介いたします。
※入選作品は期間限定でのご紹介となります。予めご了承ください。
【審査員選考記】
審査員 詩人・エッセイスト 白石 公子 氏 しらいし こうこ
迷いから生まれるもの
2024年、新しい年を迎えるにあたり、ここに「第38回メトロ文学館」の入賞発表の運びとなりました。東京都内外から196編の応募がありました。いつもより少なめでしたが、個性的、心温まる作品は多かったように思います。またこの「メトロ文学館」においては、入賞関係なく、毎回、投稿して下さる常連の方々の作品も楽しみにしているところです。常連の皆様、ぞれぞれの人生の変遷、あるいは友人からの近況の手紙を読んでいる気持ちになるからです。今回もたくさんの作品をお寄せ下さりありがとうございました。
選考中、共感させられたのは、私も若い頃、都心の駅構内でうろうろ迷うのは「ダメなこと」「ダサい田舎者」と思い込んでいた、ということです。駅構内はいかにも通い慣れた「自分の庭」のように颯爽と歩いて行く。この姿こそが東京人だと信じて疑いませんでした。しかし進化し続ける駅構内は、いつでも迷うことばかりです。案内板、路線図、スマホを見ることなしで歩くことは、無理だということがわかってきました。そしてうろうろ迷っているその内面では、実に多彩な物語と言葉が生まれていることを、今回の選考で改めて気づかされました。