メトロ文学館

2023年【第37回受賞作品】

電車内で、文化的な雰囲気と潤いを感じていただくため、「東京で感じるあなたの心」をテーマに詩を募集いたしました。ご応募いただいた作品の中から、優秀作品を電車内のポスターとして掲出(期間限定)するとともに、優秀作品及び入選作品※をご紹介いたします。
※入選作品は期間限定でのご紹介となります。予めご了承ください。

【審査員選考記】

審査員 詩人・エッセイスト 白石 公子 氏 しらいし こうこ

何かがふっとよぎる瞬間

 皆さまのおかげをもちまして、ここに2023年夏の「第37回メトロ文学館」が入賞発表される運びとなりました。東京都内外から全457編の応募作品がありました。たくさんの作品をお寄せ下さりありがとうございます。心より感謝を申し上げます。
 今回は、いつにも増して、個性的かつ今が息づいているもの、心揺さぶられる作品が多かったように思います。共感、発見、気づき、感動をもたらし、途中から審査を忘れて、読み込んでしまい、その選考にかなり時間がかかりました。つくづく「電車」や「駅」をとりまく四季折々の風景、日常的であればあるほど、私たちの「人生」そのものだと思わずにはいられませんでした。
 印象的だったのは、人ごみのなかひとりでいるとき、何かがふっとよぎる瞬間がある、ということです。ホームで立っているとき、あの交差点を渡っているとき、改札口を通ったとき、つり革を握ったとき・・・それは鳥の影がさっとよぎるような一瞬なのですが、「今のは、なに?」と、立ち止まってしまうときもあります。その瞬間には、もっとも大切なこと、自分でも気づかなかった本当の気持ちがひそんでいるような気がします。そんな鮮やかな瞬間こそが、人生の機微そのものであることを「メトロ文学館」の作品群は教えてくれているのです。

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【第37回優秀作品】

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「籐のかご」

小田 和子

「異次元ステーション」

巻端 俊吾

「その名麗し」

山木 海絵子

「うなずく」

鈴木 惠治

「オレンジの鉄塔」

大和田 裕二

「その先へ」

山城 あい