メトロ写真教室

第55回メトロ写真教室 金刀比羅宮・虎ノ門ヒルズ周辺

2024年10月27日 (日) に第55回メトロ写真教室を開催いたしました。
午前中はプロの写真家による講義を行い午後は撮影地の金刀比羅宮・虎ノ門ヒルズ周辺にて撮影会を行いました。
ご参加いただきました皆様が撮影された作品に写真家 中谷氏の講評を添えて掲載いたします。

総評 写真家 中谷 吉隆氏

第55回メトロ写真教室は、安全・安心に十分な注意を払い行われました。
午前中は教室で、参加者から提出された作品の個評を行い、続いて今回の撮影地の金刀比羅宮・虎ノ門ヒルズ周辺のロケハン写真をもとに紹介した後、写真撮影の基礎的、技術的なことを、私の作品を投影して講義を行い、現地へ向かいました。
都心の官庁街に隣接する虎ノ門周辺は、以前からビジネス街でしたが、近年の再開発で大きく変貌している地域です。東京メトロ銀座線の虎ノ門駅から地上に出ると、超高層ビルが押し迫ってきます。1968年に耐震超高層ビルとして世界で最初に竣工され、その景観を誇った霞が関ビルを圧倒します。
先ずは、そのビル街に鎮座する金刀比羅宮向かいました。このお宮は四国・香川県に由来します。周辺の超高層ビルが覆いかぶさる社殿前の銅鳥居に特徴があり、左右の柱の上部に四神(しじん)の彫刻が施されています。四方の守護神で、東が青龍、西に白寅、南に朱雀、北に霊鳥、霊獣です。
そして、虎ノ門ヒルズ森タワーと虎ノ門ヒルズステーションタワーへ向かいました。この地下には都内でも珍しいビルとビルの間に東京メトロ日比谷線の虎ノ門ヒルズ駅があり、観察ができます。両ビルの連絡デッキには、現代風のオブジェがあり、特異性のある空間が存在しています。
途中では撮影に関するさまざまな質問にもお答えしました。
撮影後には、ご希望の方のカメラの液晶画面の画像を見ながら個評をして、無事写真教室を終えました。
参加者からの提出作品はバラエティーに富み、タイトルに作者の感覚が表れた作品があり、素晴らしいものでした。その中から一人一点を選び、講評を付けて発表します。

審査員の詳細はこちら
「多次元の模索」

井原 直毅

審査員の個評

ガラスが鏡の効果を発揮して、いろいろな角度からの事象・現象を写りこませます。判じ物の世界が出現し、どれが実像で虚像か、クイズで正解探しをしたくなります。もしかすると作者もとまどう光景ではないでしょうか。面白い光景を捉えました。

「整列前のひととき」

河田 康史

審査員の個評

なるほど、お宮を象徴する五色の大きな幟の左の紫クンがこちらを向いていませんね。整列がなされると、いざ出陣となるのかと想像させ緊張します。タイトルは大事で作者の撮影意図をも表します。いい発想のタイトルが付けられました。

「未来都市」

小林 成子

審査員の個評

近代建築はガラスが多用され、その影響で不思議な状況に出会います。ここもそうで、コンクリートなどの床があれば見えないのですが、人の頭を踏みながら歩くという不安な気持ちを起こさせます。新しい時空間を見事にキャッチしました。

「虎ノ門ヒルズ ビル群」

酒井 博司

審査員の個評

森タワーとステーションタワーの連絡通路にあるオブジェ。見上げてご覧と大きく右手を伸ばしています。その動作についついその方向を観たくなります。ガラス張りのビルとの組み合わせは、現代風であり不思議な光景としてものにしています。

「御籤の隙間から」

里見 知郁

審査員の個評

金刀比羅宮には、御神籤を結びつけるところが二カ所ありました。社殿右手の位置からの狙いで、画面の左側に五色の幟の色合いを取り入れていて、モノトーン調の画面に華を添えています。いいアングルを見つけて一枚を得ました。

「ひとりの世界」

司馬 寧

審査員の個評

ビル街の中に押し込まれたようにある金刀比羅宮。その境内のベンチにいる人物。たしかにひとりの世界ですが、孤独感があり、ビルに囲まれた神社となにかしら相通じる面もある感じがします。なかなか奥深さを思わせる一枚となりました。

「都会の秋風」

渋澤一郎

審査員の個評

エッ、なんでこんなところにススキがあるの?と首をかしげたくなる情景で、カメラアングルとレンズワークの勝利です。超高層ビルに押さえこまれながら、生きる姿を見せられた感じです。秋の日差しがあれば、ススキの穂に輝きが出たでしょう。

「ビルからのメトロ」

田中美幸

審査員の個評

虎ノ門ヒルズの森タワーとステーションタワーの地下は東京メトロ日比谷線に直結していて、双方からホームと電車を撮影できるスポットです。写真は森ビルからのショットですね、ホームに乗客がいればより臨場感が増したでしょう。

「紅と藍」

寺内淳子

審査員の個評

虎ノ門ヒルズの二つのビルの内部の壁やエスカレーターの裏側には、それぞれにビル独自のカラーが使われ、デザインが施されていて、その色を眺めていると楽しくなります。特長ある色合いを、ダイナミックな構図で切り取りました。

「金刀比羅宮2」

橋本 英隆

審査員の個評

金刀比羅宮社殿の上がり框の情景です。宮司の草履がポイントになっていますが、ピントは奥の階段ですからピンボケです。草履にピントを合わせて構図作りをすると、これを履く宮司さんの人物像を想像させる印象的な写真になったでしょう。

「生剛」

藤田 悠平

審査員の個評

金刀比羅宮のひと隅でしょうか、取り残された樹木の根から新しい芽が生まれ、力強くその生命をつなごうとしています。無機質的なビル街にあって、有機性を持続する樹木にエールを送りたい気持ちになります。観察力が一作を生み出しました。

「見守り」

増渕 千鶴子

審査員の個評

オフィスビルを背景に、周辺を威嚇するかにとらえた金刀比羅宮の手水所の龍。アングルの取り方は上々です。左手前の柄杓を入れなければ、不思議な空間を醸し出します。また天気の具合で、コントラストが付き画面がより明確になります。

「亀さんと金毘羅宮」

村田 正美

審査員の個評

金刀比羅宮の社殿前にある銅鳥居の柱の上部には、四方の守護神としての四神の彫刻が設置されています。その一つの北を守る亀の形をした霊獣を社殿の屋根と絡ませて構成しています。背景のビルが今日のお宮の置かれた現状を思わせ見事です。

「駅の雑風景」

山田 弘志

審査員の個評

ステーションタワーからの東京メトロ虎ノ門ヒルズ駅のホームと吹き抜けの空間の様子です。現代建築は不思議な空間を作り出し、どれが実際の状況で、どれが虚像か見まがいます。頭の中が混乱する風景を見せてくれています。

「秋の日の虎ノ門ヒルズ」

山根 圭子

審査員の個評

超高層ビルの谷間にあるオーバル広場。ビルの直線と曲線を使い、オブジェを配した構図はきっちりとしています。そしてススキを組み合わせ秋の季節を感じさせいいですね。好天であれば、ススキが逆光線で輝き、より空間が強調されたでしょう。

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