メトロ写真教室

第52回メトロ写真教室 小石川後楽園

2023年5月20日 (土) に第52回メトロ写真教室を開催いたしました。
午前中はプロの写真家による講義を行い午後は撮影地の小石川後楽園にて撮影会を行いました。
ご参加いただきました皆様が撮影された作品に写真家 中谷氏の講評を添えて掲載いたします。

総評 写真家 中谷 吉隆氏

第52回メトロ写真教室は、コロナ禍が少し落ち着いたころでしたが、感染者拡大防止のため、参加人数を小人数に絞り、安全・安心に十分な注意を払い行われました。
午前中は教室での講義を行い、午後に撮影地の小石川後楽園に向かいました。ここは、江戸時代に水戸徳川家の中屋敷(後に上屋敷となる)として造られたもので、水戸黄門として知られる二代藩主の光圀の代に完成した庭園です。光圀は造園にあたり円月橋、西湖堤など中国の風物を取り入れ中国趣味豊かな庭園で、国の特別史跡・特別名勝に指定されています。
参加者から提出された作品は、バラエティーに富んでいて素晴らしいものでした。その中から一人一点を選び、講評を付けて発表します。

審査員の詳細はこちら
「雨の跡」

青木 由佳

審査員の個評

小枝に連なる水滴が宝石のように輝き、実に初々しくあります。枝の葉や周辺の樹木が、この輝きを演出する光を作り出していてのことです。そして、左から右へと上がっていくのはドレミファの音符のようで、楽しいばかりです。どんな音を奏でているのでしょうか。

「ドクダミ清らかに」

石井 紀子

審査員の個評

左下のように十字架にひらく白い総苞(そうほう)をつけるどくだみ。苞の中心の黄色い穂状のものが花です。暗緑色の葉にちりばむ苞は可憐で、いい構図をつくり見事です。葉は特異な臭気を放ちますが、茎や根と薬用になることから、どくだみは十薬と呼ばれます。

「自然のハート」

大石 明子

審査員の個評

緑一色に囲まれた蓮池の池の中には葉が育ちひしめいています。その蓮池の形は、なるほどハート形をしています。一見、見過ごしてしまいそうですが、細やかに観察をしての発見でしょう。周辺の事物を大ざっぱに眺めていては、捉えられない感覚で感心しました。

「涼」

大坂 芳弘

審査員の個評

庭園の中には、いくつもの造作物があり、この白糸の滝もそのひとつです。樹木に囲まれた空間に造られた小さな滝ですが、庭園の中心にある池である大泉水に水を注いでいます。スローシャッターを用い水の流れを写したのが効果的で、涼感を覚えさせてくれます。

「ハナショウブ」

奥 健太郎

審査員の個評

当日、花菖蒲田にはいくつかの花菖蒲が咲いていました。その一花でしょうか、深い緑の葉色を背景にアップで捉えています。薄紫の色あいも美しく、凛とした姿を見せています。周辺に花が咲き乱れていると、なかなかこういった状況では撮れなく、いいチャンスでした。

「遥拝」

新保 貴史

審査員の個評

庭園は池を中心とした回遊式築山泉水庭園で、随所にさまざまな建築物、構造物があります。そういったところへの道にはふんだんに石を用いていて、ゆるやかに登っているこの道もそのひとつ。逆光線で捉え厳かさがあり、タイトル「遥拝」のイメージを作りあげました。

「睡蓮」

チャン ビビアン

審査員の個評

琵琶湖を見立てて造られた、この庭園の中心となる大泉水をはじめ、園内にはいくつもの池が点在しています。池の水面を覆う緑の葉の間に咲く真白いスイレンの花をキャッチしています。画面手前の5つの花を中心にした構図にすれば、花の美しさがより際立ちます。

「古橋新愛」

中島 勇

審査員の個評

水面に映る形が満月のように見えることから円月橋の名称がある橋。古色蒼然とした橋を背景にして、新郎新婦の写真撮影がされていました。お二人の幸せを願ってのショットで、穏やかな表情、仕草も良く「古橋新愛」のタイトルが見事です。いいタイミングでした。

「亀も二度見する」

永田 耕平

審査員の個評

岩の上で首をもたげた亀の光景はよくあります。それを撮ったにすぎないのですが、「亀も二度見する」のタイトルに、ハテと首をひねります。そう、頭上には夏なのに小枝の葉は色に染まっていて、それが気になってか、と納得します。当然、作者も二度見したことでしょう。

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