メトロコンサート

「紅蓮華 -サクソフォン五重奏-」

作曲:草野華余子 編曲:宮越悠貴 演奏:Five by Five

「丸の内サディスティック -サクソフォン五重奏-」(STEREO&BINAURAL)

作曲:椎名林檎 編曲:宮越悠貴 演奏:Five by Five

「アメイジング・グレイス -サクソフォン五重奏-」(BINAURAL)

編曲:松永ちづる(Trans.:宮越悠貴) 演奏:Five by Five

「この道 -サクソフォン五重奏-」(BINAURAL)

作曲:山田耕筰 編曲:多胡 淳(Trans.:宮越悠貴) 演奏:Five by Five

「Up High Above the Beautiful Rainbow -サクソフォン五重奏-」

作曲:MALTA 編曲:Miho Hazama 演奏:Five by Five

「GRADUATE -サクソフォン五重奏-」(BINAURAL)

作曲:MALTA 編曲:Rika Ishige 演奏:Five by Five

クラシック、ジャズ、ポップスと幅広い音楽シーンで活躍するサックス。1840年代にベルギーのアドルフ・サックスによって発明された楽器で、正式名称はサクソフォン。今回、メトロコンサートオンライン配信で演奏していただいたサクソフォン五重奏のグループ『Five by Five』のメンバー5人に、サクソフォンの魅力や演奏法などについて伺いました。

サクソフォンの基礎とその魅力

4種類のサクソフォン、それぞれの役割

一般的に使われているサクソフォンは4種類。ソプラノサックス、アルトサックス、テナーサックス、バリトンサックスで、それぞれパート別の役割があります。

宮越悠貴
(以下、宮越)

「メンバーの中で一番高い音を出せるサックスがメロディーを演奏することが多く、ソプラノサックスはメロディーを吹きつつ、時々ハーモニーも吹きます」

スティーブ・チェイ
(以下、スティーブ)

「アルトサックスはソプラノサックスと一緒に吹いてハモったり、たまにメロディーを吹くこともあります」

KENTA

「テナーサックスはハーモニーを吹くこともあれば、ジャズやポピュラーミュージックではメロディーを引き立てるリズムを吹いたり、ソプラノサックスと一緒にメロディーでハモったりと臨機応変です」

蒙和雅
(以下、蒙)

「アルトサックスとテナーサックスは他のパートとの間を埋めるなど、いろいろなパートと連携して音楽を充実したものにするイメージです」

田中奏一朗
(以下、田中)

「ベースラインを吹くバリトンサックスは、リズムを生み出します。五重奏でジャズやポピュラーミュージックを演奏する時はドラムの役割もします」

多様性が光るサクソフォンの魅力

美しい音色、かっこいいリズムなど様々な表情が出せるサクソフォン。一番の魅力はどんなところにあるのでしょうか。

宮越

「かっこいいに尽きます。変幻自在さ、柔軟さ、幅広さはどの楽器にも負けません」

スティーブ

「他の楽器にはない多様さです。クラシック、ジャズ、ポップスはもちろん、演歌もできます」

田中

「アンサンブルは大きな魅力です。同属楽器では弦楽四重奏がポピュラーですが、同じ形態のサクソフォン四重奏も人気があります」

KENTA

「人の声に似ていると表現されることがよくありますが、まさに喜怒哀楽といった人間の感情を表現できますし、吹く人の個性が出ます」

「楽器としてのポテンシャルが高いです。メジャーな楽器の中では新しく、誕生から200年ほどしか経っていません。少し未熟な部分があるのも魅力だと思います」

五重奏だからこそ迫力が違う

サクソフォンといえば、四重奏の“サックスカルテット”がポピュラーですが、『Five by Five』のように、五重奏には五重奏ならではの強み、特徴があります。

宮越

「1本増えることでハーモニーが広がります。ジャズやポップスには絶対に必要なもう一音で、5人だからこそ、ジャジーなハーモニーが出せますし、役割を際立たせることができます」

田中

「五重奏だとやはりハーモニーの迫力が違ってきます」

スティーブ

「サックス奏者は基本的に全てのパートを吹くことができます。5人で演奏していて、例えば、低い音が足りなくなったら足せばいいですし、自由がきく点もメリットです」

「紅蓮華 -サクソフォン五重奏-」

作曲:草野華余子 編曲:宮越悠貴 演奏:Five by Five

「丸の内サディスティック -サクソフォン五重奏-」(STEREO&BINAURAL)

作曲:椎名林檎 編曲:宮越悠貴 演奏:Five by Five

サクソフォンの仕組みや演奏法

初心者でも扱いやすい

サクソフォンは素材の質感などから一見、金管楽器にも見えますが、木管楽器です。

KENTA

「素材には真鍮に、ラッカーや金メッキをかけているものなどがあります。管体が薄くなると響きが変わるため、研磨剤ではなく、専用のクロスで磨きます」

口の部分についているリードというケーン(葦)でできた板状のものと、マウスピースがセットになっており、息を吹き込むとリードが振動し、菅の中に入って増幅され、音が鳴る仕組みです。

宮越

「金管楽器は唇を震わせて音を出しますが、サックスはシングルリードに属しています。金管楽器の音量の大きさと、指が早く動かせる木管楽器を掛け合わせた楽器で、ハイブリットなんです」

田中

「基本的にリコーダーと同じでドレミファソラシドがあり、音を出すのは簡単ですので初心者の方でも扱いやすいと思います」

いい音色を出すためのテクニック

美しい音色が印象的なサクソフォン。良い音色を出すために大切なこととはどんなことでしょうか?

KENTA

「あらゆるジャンルの曲を聴く。美味しい食事を食べる、絵を見る、景色を見る。価値のあるものに触れ、感性を磨くことが大切だと思います」

「楽しく吹くことです。新しく始める人は楽しく吹いているうちに良い音を出せるようになると思います」

田中

「例えば、人に教えるときは、良い声で歌うつもりで吹くようにと伝えます。吹く時に力が入ると体や頭の中で響かせる空間が狭くなるので。歌う感覚と同じようにすると音色が変わります」

スティーブ

「良質なものを手に入れれば、絶対にいい音が出ます」

宮越

「自分が気に入ったものを使うのが一番だと思います」

音楽のジャンルで変わる演奏法

クラシック、ジャズ、ポップス、さまざまな音楽に対応するサクソフォンですが、それぞれ演奏法には違いがあります。

宮越

「クラシックは美しい音色やハーモニーが特徴で、ジャズやポップな楽曲になると、そこにリズムが出てきます。Jポップを演奏する時の難しさは歌詞です。歌詞をどこまで音符として忠実に守るのか、アーティストの歌い方のくせをどこまで真似するのかなど、試行錯誤して演奏することが重要だと思います」

また、サクソフォンにはテクニックを駆使したさまざまな演奏法があります。

KENTA

「例えば、リードを舌で弾くスラップタンギング。また通常、管楽器は一つしか音が出ませんが、いつもと違う指使いをすることで、二つの音を滑らかに繋ぐポルタメントという奏法もあります。さらにビートボックスや、除夜の鐘を真似した奏法などいろいろなテクニックがあります」

「アメイジング・グレイス -サクソフォン五重奏-」(BINAURAL)

編曲:松永ちづる(Trans.:宮越悠貴) 演奏:Five by Five

「この道 -サクソフォン五重奏-」(BINAURAL)

作曲:山田耕筰 編曲:多胡 淳(Trans.:宮越悠貴) 演奏:Five by Five

「アメイジング・グレイス -サクソフォン五重奏-」

編曲:松永ちづる(Trans.:宮越悠貴) 演奏:Five by Five

「この道 -サクソフォン五重奏-」

作曲:山田耕筰 編曲:多胡 淳(Trans.:宮越悠貴) 演奏:Five by Five

コロナ禍における昨今の音楽事情

コロナ禍で一変した音楽環境

新型コロナウイルスの拡大は音楽界にも大きな影響を及ぼしました。

田中

「以前は月に何度かコンサートホールやイベントで演奏していましたが、コロナ禍で中止や延期になりました。自粛期間中は楽器からあえて離れる人もいましたし、動画作成やオンラインコンサートをやる人もいましたね」

スティーブ

「今ではライブ配信でチケットを売るというシステムも増えていますし、オンラインでのライブ配信は今後どんどん増えていくのではないかと思います」

練習のための動画を配信

サクソフォンは日々の練習も欠かせません。コロナ禍で練習環境はどれだけ変わったのでしょうか。

田中

「自宅が防音になっていたり、個人の練習はそんなに変わらないかと思います。ただ、本番もないのに練習し続けるというのは厳しいものがありました」

宮越

「本物はなくならないことを認識できた期間でもありました。自分のフィールド以外の目先のものに手をつけたりせずに、しっかり蓄えてきた人が活動の場を広げられるのではないかと。動画を見て練習できるようにオンラインで配信するなど新しいサービスも始められるようになりました」

KENTA

「ソロのコンサートでピアニストと共演するときに気をつけるべき点などのレクチャー動画をあげたりもしました。一人で練習したい人たちを手助けする動画がYouTubeで配信されていましたし、動画での発信が盛んになった印象です」

サクソフォンの今後の可能性と展望

音楽事情は日々変化しています。サクソフォンのこれからの可能性、展望についてどんなふうに考えていますか。

KENTA

「クラシック、ジャズ、ポップスなどはジャンルというより、音楽スタイルの違いと考えています。クラシックの中のサクソフォンというとイメージが決まってくるように思いますが、もっとイメージの幅を広げられたらいいなと思います」

「サックスはポップスのイメージも強いと思いますが、いろいろなジャンルで活躍するからこそ、どのジャンルでもサクソフォンの役割を深めることができたらと思います」

田中

「演奏者がいて、聴く人がいて、音楽を共有することで演奏会は成り立つと思いますが、今回のように動画を通してでも、音楽の持つパワーを伝えられると思います」

スティーブ

「特にクラシックは世界でスタイルが違います。日本のスタイルをアジアや世界に広めて、どんどん知ってもらえたらと思います」

宮越

「頑張って楽しいことを見つけ出さないといけない世の中になってしまったので、楽しむことをいつまでも忘れずに、サクソフォンを続けていくことが理想です」

「Up High Above the Beautiful Rainbow -サクソフォン五重奏-」

作曲:MALTA 編曲:Miho Hazama 演奏:Five by Five

「GRADUATE -サクソフォン五重奏-」

作曲:MALTA 編曲:Rika Ishige 演奏:Five by Five

「GRADUATE -サクソフォン五重奏-」(BINAURAL)

作曲:MALTA 編曲:Rika Ishige 演奏:Five by Five

バイノーラル録音とは?

人間の頭部を模したダミーヘッド等を用いて、人間の鼓膜に近い環境で録音することにより、ヘッドフォンやイヤフォンで聴くと、その場に居合わせたかのような臨場感の高い音を再現することができる収録方法です。ぜひヘッドフォンやイヤフォンでお楽しみください。
(※動画タイトルに(BINAURAL)とあるものが対象です。)

Five by Five メンバープロフィール

宮越悠貴(ソプラノ)

東京藝術大学在学中にアカンサス音楽賞、同声会賞受賞。
2009年度ヤマハ音楽奨学生。TV朝日「題名のない音楽会21」にて、故羽田健太郎氏、神奈川フィルハーモニー管弦楽団と共演。MALTA氏率いるMALTA Jazz Big Band、MALTA 11 Orchestra plus Oneにレギュラー出演。JAZZへのアプローチも積極的に行う。またフルート、クラリネットを演奏するマルチリード奏者として、ミュージカル、レコーディング、ライブサポート等にも参加する。サクソフォンアンサンブルを中心に、作・編曲も手がける。
Saxophone Quartet「The Rev Saxophone Quartet」アルトサクソフォン奏者。Saxophone Quintet「Five by Five」 リーダー。

スティーブ・チェイ(ソプラノ&アルト)

ジュニアクラシックコンサート大学生の部、第22回日本クラシックコンクールにて最高位受賞。
上野学園大学在学中に下野竜也氏の指揮による上野学園大学オーケストラと、J.イベールの協奏曲で共演。第85回読売新人演奏会や、皇后陛下始め多くの皇族方が列席される宮内庁主催皇居桃華楽堂午前演奏会などに出演。東京藝術大学大学院在学中、ティーチングアシスタントも務めた。現在はフリー奏者として、オーケストラ、吹奏楽のエキストラを務めるなど、様々な演奏活動を展開している。
昭和音楽大学及び同大学院非常勤講師。

KENTA(テナー)

クラシックサクソフォン世界最高峰のコンクールとして知られる、第7回アドルフ・サックス国際コンクールにて優勝。スロヴェニア、ノヴァゴリツァにて行われた9th International Saxophone Competition Nova Goria第2位。
洗足学園音楽大学選抜演奏者に2011年より3年連続で認定される。同大学在学中にヤン・ファンデルロースト指揮「アドルフ・サックス200」のレコーディングにソリストとして参加。洗足学園ニューフィルハーモニック管弦楽団とH.トマジのサクソフォン協奏曲で共演(秋山和慶氏指揮)。 ブリッツフィルハーモニック・ウインズ コンサートマスターを務める傍ら、洗足学園音楽大学の講師として後進の指導にあたっている。

蒙和雅(アルト&テナー)

第24回日本クラシック音楽コンクール高校の部第2位(最高位)。日本サクソフォーン協会主催第17回ジュニア・サクソフォンコンクール第1位。第22回神戸新聞松方ホール音楽賞 木管楽器部門 奨励賞受賞。公益財団法人青山音楽財団2019年度奨学生。東京藝術大学内にて安宅賞、同声会賞を受賞。
同大学奏楽堂モーニング・コンサートにおいて、藝大フィルハーモニア管弦楽団と共演。2020年度同声会新人演奏会に出演。アルノ・ボーンカンプ、アレクサンドル・スーヤ各氏のマスタークラスを受講。
東京藝術大学大学院修士課程1年に在学中。

田中奏一朗(バリトン)

日本サクソフォン協会第14回ジュニアコンクール第3位受賞。第11回九州音楽コンクール、第20回すみれ会音楽コンクール、第61回西日本国際音楽コンクールそれぞれで最高位を受賞。
2017年ヤマハ管楽器新人演奏会に出演。TV朝日「題名のない音楽会」に出演。特にバリトンサクソフォンでの定評は高く、クロスオーバーなスタイルで新曲の委嘱など独自の活動を展開する。グループでの活動の他、国内各地のプロオーケストラや吹奏楽団にエキストラとしても多数出演している。
Saxophone Quartet「The Rev Saxophone Quartet」バリトンサクソフォン奏者。

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